尿中ケトン体

糖尿病患者の高血糖状態におけるケトアシドーシスで陽性。また飢餓状態時にも陽性になる。

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尿中ケトン体

ケトン体は、アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトンの総称で、
脂肪酸の分解産物です。糖尿病による糖利用障害や、飢餓状態で脂
肪酸がエネルギーに用いられた際に、いわば「燃料」が「不完全燃
焼」した廃棄物として血中・尿中に蓄積します。脂肪酸は肝臓でア
セト酢酸を経てアセトンまたはβ-ヒドロキシ酪酸に分解され、最
終的には組織で酸化を受け二酸化炭素と水に代謝されますが、一部
は血中を介して尿に排泄されます。

したがって健常人尿中にもごく微量(2.5mg/dl以下)のアセトンが
排泄されますが、通常の試験紙法では検出感度以下のため検出され
ません。

糖質の代謝が障害されると、生体ではエネルギー源を血中グルコー
スから、貯蔵されていた脂肪に頼るようになり、肝臓で脂肪分解に
伴うアセトン体生成が亢進します。その結果ケトン体は、徐々に組
織の処理能力の限界を超えて血中に蓄積し、ケト血症(Ketosis)
といわれるアシドーシス状態をもたらします。尿中にもケトン体が
排泄され、そのため尿は強い酸性を示すようになります。なお、ケ
トン体は揮発性なので新鮮尿を密栓して保存し、少なくとも3時間
以内に検査する必要があります。

試験紙法での偽陽性反応はL-Dopa大量療法、フェニルケトン尿症、
BSP負荷試験尿などの際にみられます。

陽性を示す病態
 糖質供給が不十分のとき(飢餓など)
 組織におけるブドウ糖の利用が障害されたとき(糖尿病など)
 糖尿病性ケトアシドーシス(*)による糖尿病性昏睡

 妊娠悪阻、嘔吐、下痢、脱水、過脂肪食、甲状腺中毒症、消化吸
 収障害、小児自家中毒、糖原病

(*)糖尿病性ケトアシドーシス
インスリンはブドウ糖の利用を促進するホルモンですが、1型糖尿
病患者ではこれが欠乏しているために肝臓、筋肉といった組織が血
糖を取り込むことが出来ず、血管内は高血糖であるが細胞内は逆に
低血糖状態となります。そのためβ酸化によりTCAサイクルと呼吸
鎖を動かすこととなり、血中にケトン体が遊離、このケトンによっ
てアシドーシス(血液が酸性に傾く状態)となります。このような
ケトンによるアシドーシスは特にケトアシドーシスと呼ばれ、特に
糖尿病によって引き起こされた場合を糖尿病性ケトアシドーシスと
いいます。

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