水代謝 高ナトリウム血症と低ナトリウム血症

高ナトリウム血症は水が失われ血中のナトリウム濃度が濃くなる病態、低ナトリウム血症は水が余り血中のナトリウム濃度が薄まる病態です。

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水代謝 高ナトリウム血症と低ナトリウム血症

高ナトリウム血症も低ナトリウム血症も、ほとんどの場合はナトリウム自体より水の代謝に問題があります。高ナトリウム血症は水が失われ血中のナトリウム濃度が濃くなる病態、低ナトリウム血症は水が余り血中のナトリウム濃度が薄まる病態です。
水の出し入れを管理しているのは腎臓です。腎臓には水を捨てるべき時には希釈尿、水を保持するべき時には濃縮尿を排泄する仕組みがあり、これにより体液量やナトリウム濃度の恒常性を維持しようとしています。その調節をつかさどるのは抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone:ADH)です。ADHは身体の浸透圧を感知した脳により、身体の血清浸透圧が少しでも上昇すると放出され、腎臓に作用して水の再吸収を促進します(濃縮尿がでる)。一方、身体の血清浸透圧が少しでも低下すると放出されず、腎臓の水再吸収が低下し水排泄が促進されます(希釈尿がでる)。このようにして身体は浸透圧とナトリウム濃度を一定に保っています。

高ナトリウム血症の原因
1)利尿薬
2)浸透圧利尿(未治療の重症糖尿病、マニトールなど)
3)著明な発汗
4)熱傷:体表からの水分喪失
5)下痢
6)尿崩症(中枢性、腎性)
7)飲水不足
8)高張Nacl溶液(脳浮腫改善などに用いられることあり)
9)高張NaHCO3溶液(メイロン):極めて高張(ナトリウム濃度は840mEq/L)なのでアシドーシスの補正であまり気軽に使用すると大量のナトリウム負荷になり危険。
10)原発性アルドステロン症:理論上ナトリウム再吸収が亢進してナトリウム濃度が上がるが稀

低ナトリウム血症の原因
まず血清浸透圧が低いことを確認し偽性低ナトリウム血症を除外する。
1)体液量が低下した場合
・腎からの塩喪失:利尿剤、鉱質コルチコイド欠乏、NaHCO3尿(尿細管性アシドーシス、代謝性アルカローシス)、ケトン尿、cerebral salt wasting
・腎外からの塩喪失:嘔吐、熱傷、外傷
2)体液量が適正な場合
・糖質コルチコイド欠乏
・甲状腺機能低下症
・ストレス
・薬剤
・不適切ADH症候群(syndrome of inappropriate ADH:SIADH):悪性腫瘍や肺疾患・中枢神経疾患(肺小細胞癌など)で勝手に産生されたADHが、腎に作用して水の排泄ができなくなり、水が身体に貯留する。
3)体液量が過剰な場合
・腎不全
・ネフローゼ症候群
・肝硬変
・心不全
心不全では心拍出量の低下、肝不全では内臓静脈系の拡張によるプーリングにより腎血流が下がり、腎は全身が浮腫なのにもかかわらず、水が足りないと判断し水を保持した結果ナトリウム濃度が下がります。

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