百日咳の診断基準と検査実施フローチャート2017

小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017版では百日咳の診断基準が大きく改定。また、この診断基準が簡便に使えるように検査実施フローチャートも改定された。

スポンサードリンク

百日咳の診断基準と検査実施フローチャート2017

2016年に百日咳の新しい抗体測定法(百日咳菌-IgM抗体、IgA抗体)や百日咳菌の高精度検出法であるLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法が新たに保険収載されたので、小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017版では百日咳の診断基準が大きく改定されました。また、この診断基準が簡便に使えるように検査実施フローチャートも改定されました。
百日咳の診断は、臨床所見である程度絞り込み、百日咳菌の気道からの検出あるいは百日咳菌関連の血清抗体価の有意な上昇を確認して診断します。培養は感度があまり良くないが、LAMP法は感度・特異度ともに非常に優れています。発病して4週間以内であれば、特に百日咳菌に有効な抗菌薬を処方されていないかぎり、LAMP法はほぼ陽性となります。しかし、発病して4週間をこえると気道の菌量が減少するため、LAMP法でも検出できないことが多くなります。このため、発病4週間をこえた場合には、百日咳菌-IgM抗体・IgA抗体・PT-IgG抗体価の診断価値が相対的に高くなります。血清抗体価は、単血清での評価が難しいため、できるだけペア血清で診断することが望ましい。

百日咳の診断基準2017版
(A)1歳未満
臨床診断例:咳があり(期間は限定なし)かつ以下の特徴的な咳、あるいは症状を1つ以上呈した症例
・呼気性笛声
・発作性の連続性の咳嗽
・咳嗽後の嘔吐
・無呼吸発作(チアノーゼの有無は問わない)
確定例:
・臨床診断例の定義を満たし、かつ検査診断陽性
・臨床診断例の定義を満たし、かつ検査確定例と接触があった例
(B)1歳以上の患者(成人を含む)
臨床診断例:1週間以上の咳を有し、かつ以下の特徴的な咳、あるいは症状を1つ以上呈した症例
・呼気性笛声
・発作性の連続性の咳嗽
・咳嗽後の嘔吐
・息詰まり感、呼吸困難
確定例:
・臨床診断例の定義を満たし、かつ検査診断陽性
・臨床診断例の定義を満たし、かつ検査確定例と接触があった例
(C)検査での確定
1)咳発作後の期間を問わず、百日咳菌の分離あるいはPCR法またはLAMP法において陽性
2)血清診断:百日咳菌-IgM/IgA抗体およびPT-IgG抗体価

百日咳臨床診断例の検査での確定フローチャート
百日咳2017

▽百日咳の診断基準と検査実施フローチャート2017 のキーワード

▽次の記事、前の記事

結核の感染危険度 | 飢餓時の蛋白代謝 マラスムス

スポンサードリンク

健康診断・血液検査MAP:新着記事

飢餓時の蛋白代謝 マラスムス
マラスムスは、蛋白質・エネルギー栄養障害(protein-enerugy malunutrition:PEM)であり、体に備蓄されたエネルギーと蛋白質がいずれも枯渇する病態です。
百日咳の診断基準と検査実施フローチャート2017
小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017版では百日咳の診断基準が大きく改定。また、この診断基準が簡便に使えるように検査実施フローチャートも改定された。
結核の感染危険度
結核患者から他の人に結核が感染する危険度を規定する因子として、感染源の排菌量、咳の激しさ、接触した時の距離、接触の時間、接触した部屋の広さ、換気の状況、在室の時間、感染を受ける側の免疫状態などが挙げられます。
結核菌と感染性
肺結核の診断には基本的に連続3回の喀痰検査が必要です。その3回の検査結果のうち、最も重い結果に基づいて診断や接触者健診などを行うことになっています。
頭頸部癌 PD-L1タンパク(IHC)28-8
頭頸部癌患者における免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」の適切な投与を行ための補助に用いられる検査です。
カルプロテクチン 潰瘍性大腸炎の病態把握
便中のカルプロテクチン濃度と腸管内の炎症の程度とが相関することから、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の診断マーカーとなります。
認知症MCIスクリーニング検査におけるMMSE実施について
認知障害を見つけたり、認知障害の重症度を測ったり、経過を追って患者の認知機能の変化を追跡したりするために使用され、認知症の分野では国際的な基準テストとなっています。
尿1滴と線虫で癌がわかる自動装置開発・日立製作所
日立製作所は「がん」のにおいを好む線虫の特性を利用し、自動で「がん」を検査できる装置を開発したと発表しました
肺癌 PD-L1タンパク(IHC)22C3 および(IHC)28-8
非小細胞肺癌患者における「ペムブロリズマブ」、非扁平上皮非小細胞肺癌患者における「ニボルマブ」の適切な投与を行う為の補助に用いられる検査です。
CDT/トランスフェリン比 習慣飲酒マーカー
CDT/トランスフェリン比は、習慣飲酒マーカー、アルコール性肝障害の鑑別マーカーとして期待される新しい検査です。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint