ガストリン放出ペプチド前駆体(Pro GRP)

肺小細胞癌に特異性の高い血中の腫瘍マーカー。

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ガストリン放出ペプチド前駆体(Pro GRP)

ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)は、肺小細胞癌において高い陽性率と特異性を示す腫瘍マーカーです。
元来Pro GRP(pro-gastrin releasing peptide)は脳・腸管ペプチドの一種であるGRP(ガストリン放出ペプチド)の前駆体を意味しますが、ここで云うPro GRPとはGRP産生過程でその前駆体ペプチドの切断により等モルに血中に放出されるC-末端側フラグメントを示しています。

発生学上、神経内分泌細胞に起源をもつ肺小細胞癌組織よりGRPが産生されることは以前から知られていますが、血中で速やかに分解されるGRPの測定は一般に困難でした。これに対して生物活性のない前駆体ペプチド断片は極めて安定であり、肺小細胞癌患者の血中での濃度比は70倍以上にも達するといいます。すなわち、Pro GRPは腫瘍組織におけるGRP産生のより正確な指標となります。

従来肺小細胞癌のマーカーとして用いられてきた神経特異エノラーゼ(NSE)との比較では、
1)健常者と患者との血中濃度差が大きい
 (互いの平均値に対してPro GRPで約100倍、NSEでは10倍未満とされる)
2)比較的早期の症例でも陽性例が多い

といった特徴が挙げられます。

なお、他の神経内分泌腫瘍として甲状腺髄様癌や膵内分泌腫瘍における有用性も示唆されています。神経芽細胞腫および褐色細胞腫ではGRP産生量が低く、測定意義は小さいとされています。

4歳未満の小児や腎不全患者では高値となり、間質性肺炎や胸膜炎でCut-off値を上回る例が報告されています。

検査材料:血清
測定方法:EIA
基準値:単位(pg/ml) 46.0未満

高値を示す病態
 肺小細胞癌、その他の肺癌

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