組織ポリペプチド抗原(TPA)

臓器特異性が低く、さまざまな癌において高値となる。癌の増殖活性を反映するため、治療経過の把握に有用な指標。

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組織ポリペプチド抗原(TPA)

組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen:TPA)は、
各種ヒト悪性腫瘍の細胞膜や細胞質内小胞体に存在する共通抗原と
して1957年に同定された単鎖ポリペプチドです。
胎児・胎盤組織のような細胞増殖の活発な正常組織にもその存在が
認められることから、細胞分裂過程に何らかの関与をしていると考
えられています。

実際、最近になってTPAの腫瘍細胞における産生が細胞周期のS後期
からG2期に行なわれ、M期に細胞外に放出されることが発見されま
した。
また別の報告では、TPAと細胞骨格を構成するサイトケラチンとの
間にアミノ酸配列の広範囲な相同性が見出されており、TPAがサイ
トケラチン前駆体あるいはその関連物質である可能性を示唆してい
ます。

悪性腫瘍の増殖活性に相関して、癌周囲組織や血中に増加し、正常
組織の肺胞上皮・乳腺・消化管上皮・尿細管上皮・子宮頚管腺・卵
胞上皮・汗腺に存在します。
血清TPAは、腫瘍の原発臓器や、組織型とは無関係に悪性例で高値
を示し、経時的推移が悪性腫瘍の病態を反映している場合が多いの
で、治療効果の判定、あるいは再発・転移のモニタリング、予後推
察の指標としても利用されます。
一方尿中TPA値は、TPAが尿管上皮にも存在する為、膀胱癌などの尿
路上皮癌の診断や、治療効果の推測・経過観察に有用です。

TPA産生量は癌の増殖活性に相関し、担癌患者では血中TPA値が臓器
非特異的に上昇するため、その診断や治療経過の把握に有用な指標
となります。なお、TPAは良性疾患にも高値例を認めますが、その
上昇は悪性疾患とは異なって一過性であるとされています。

検査材料:血清
測定方法:RIA固相法
基準値:単位(U/l)70以下

高値を示す病態
 胃癌、食道癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、膵癌、肺癌、乳癌、
 卵巣癌、子宮癌、急性・慢性肝炎、胆道系炎症、膵炎、肺炎、
 肺膿瘍

 その他炎症性疾患、インフルエンザ、肝炎、肝硬変、呼吸器感染
 症、胆管感染症、糖尿病、尿路感染症

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