αフェトプロテイン(AFP)

肝細胞癌で上昇する、本来は胎児肝細胞由来の血清腫瘍マーカー。肝炎や肝硬変でも軽度〜中等度に上昇をみる。

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αフェトプロテイン(AFP)

α-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)は、胎児肝およびヨークサック(卵黄嚢)で産生される胎生期特有の血清蛋白です。出生直後には血中で10,000ng/ml前後の高値を示しますが、その後速やかに減少して健常小児・成人には10ng/ml以下の極めて低濃度にしか存在しません。
AFPは一次構造においてアルブミンとの間に39%の相同性を有し、種々の物質の生体内輸送や脂肪酸代謝への関与が推定されています。

AbelevおよびTatarinovが肝細胞癌において血中AFPが増量することを見出して以来、その腫瘍マーカーとしての有用性は高く評価されています。血中AFP濃度400ng/mlを超える例では肝細胞癌の可能性がきわめて高いとされています。

ちなみにAFP値の上昇する良性疾患もその多くは肝疾患です。慢性肝炎で軽度 (〜100ng/ml)、肝硬変で中等度(〜400ng/ml)の上昇を呈しますが、これらは肝細胞壊死後の肝再生によるものと推定されています。また妊娠後期には、胎児が産生したAFPが母体中にも検出されます。

さらに、原発性肝細胞癌由来AFPと、肝硬変やヨークサック腫瘍由来AFPの各糖鎖構造の相違を、レクチン親和性の差から鑑別することが可能となっています(AFPレクチン分画の項を参照)。

検査材料:血清
基準値:単位(ng/ml)10.0以下
測定方法:CLIA

高値または陽性を示す病態
 肝細胞癌、ヨークサック腫瘍、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、先天性胆道閉鎖症、妊娠(特に後期)

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臓器別腫瘍マーカー | AFPレクチン分画

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