βクロスラプス(βCTx)

骨のI型コラーゲンの分解産物。骨吸収を反映する指標で、尿中濃度が測定される。

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βクロスラプス(βCTx)

βクロスラプス(βCTx)は、骨のT型コラーゲンC末端テロペプチド
分解産物として、1994年デンマークのC.Christiansenらにより発見
されました。
骨は骨基質とカルシウムなどのミネラル成分により構成されていま
す。重量でみると、骨基質の約90%はT型コラーゲンで構成され、
残りの約10%はオステオカルシン、オステオネクチン、オステオポ
ンチンなどの「非コラーゲン性タンパク質」です。

骨組織は常に形成と吸収を繰り返し、外的負荷に適応した骨梁構造
を維持しています。このうち骨吸収では、破骨細胞由来酵素である
MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)やカテプシンKなどの働きで、
T型コラーゲンが分解されます。β-クロスラプスは、このT型コ
ラーゲン・ペプチドのAsp-Glyの部分にβ転位を生じたもので、T
型コラーゲンの破壊とともに血中に放出され、尿中へと出現します。

この分解産物は単一ではなく、尿中βCTxでは、β-クロスラプス・
ペプチドをC末端にもつ様々な分子を測定しています。検体には尿
を使用し、骨吸収に特異的なマーカーとして注目されています。

近年、骨粗鬆症に対してさまざまな薬剤が開発され、生活習慣改善
で進行を抑える試みも積極的に行われています。その効果をみる指
標として、βCTxが期待されています。すなわち尿中βCTxは、骨粗
鬆症における骨吸収抑制療法において、治療効果のモニタリングや
骨塩量の変化予測に利用されます。また、βCTx高値の患者は骨折
しやすいとの報告もあり、骨塩量測定とともに骨折のリスクファク
ターとしても活用が期待されています。

年齢、性別での変動をみると、βCTxは骨代謝の盛んな小児期にお
いて高値を示しますが、その後は徐々に低下し、成年期で低値に落
ち着く。骨代謝にエストロゲンは大きな役割を果たしていますが、
女性では閉経後、エストロゲンの分泌減少に伴い骨吸収が優位とな
るため、βCTxは増加します。

検査材料:尿
基準値:単位(μg/mmol・Cr)
    骨量低下リスクのカットオフ値: 184.1
    骨折リスクのカットオフ値: 301.4
測定方法:EIA

高値を示す病態
 骨粗鬆症、骨Paget病、原発性副甲状腺機能亢進症、閉経後など
 その他骨吸収が亢進する病態

低値を示す病態 低値側での臨床的意義は少ない

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