遊離サイロキシン FT4

サイロキシン(T4)においては、遊離型(FT4)の占める割合はおよそ0.02〜0.03%です。遊離型のみ生物活性をもつのでFT4を測定することは重要です

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遊離サイロキシン FT4

甲状腺ホルモン(T3、T4)は大部分が結合蛋白(主にTBG)と結合しています。サイロキシン(T4)においては、遊離型(FT4)の占める割合はおよそ0.02〜0.03%です。遊離型のみ生物活性をもつのでFT4を測定することは重要ですが、以前は測定自体が困難で、主に総サイロキシンが測定されてきました。しかし近年では容易に測定できるようになり、また抗T4抗体の影響を受けない測定系も開発されたので甲状腺機能検査の主流になってきています。

日内変動や食事の影響がほとんどないので特に採血上の制約はありません。高値が認められた場合は、甲状腺機能亢進症か亢進を伴わない甲状腺中毒症を鑑別するためにヨード摂取率を検査します。
TBG異常もチェックする必要があり、T4あるいはT3、TBGも測定するのが望ましい。

甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)量は、甲状腺機能亢進症で上昇、機能低下症では減少しますが、甲状腺機能の異常以外でも妊娠、経口避妊薬の内服、先天性TBG増加症などによりサイロキシン結合蛋白(TBP)の量が増加しているとき増加し、逆にネフローゼ症候群、強度の肝疾患、先天性TBG減少症などでTBPが減少しているときに減少します。しかし、血中の遊離T4量(総T4量のおよそ0.05%) は、TBPの濃度変化には依存せず、甲状腺機能を良く反映します。そのことより、血中遊離T4量の測定は甲状腺機能診断の有用な指標となり得ることができます。

基準値: 0.90〜1.70(ng/dL)
測定方法: ECLIA

異常値を示す疾患・病態
・減少する疾患
原発性甲状腺機能低下症、下垂体性甲状腺機能低下症、視床下部性
甲状腺機能低下症、妊娠後期

・上昇する疾患
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、甲状腺中毒症、亜急性甲状
腺炎、甲状腺ホルモン不応症

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