日本エイズ学会・HIV-1/2感染症の診断ガイドライン2008

日本エイズ学会と日本臨床検査医学会は、最新の医学知識に則し、診療における新しい推奨検査手順を「HIV-1/2感染症の診断法2008年版」として改定し公表しました。

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日本エイズ学会・HIV-1/2感染症の診断ガイドライン2008

日本エイズ学会と日本臨床検査医学会は、最新の検査法を利用したHIV-1/2感染症の正確な診断手順が早期に広く普及するよう、最新の医学知識に則し、診療における新しい推奨検査手順を「HIV-1/2感染症の診断法2008年版」として改定し公表しました。

スクリーニング検査としてHIV-1抗原とHIV-1/2抗体の同時測定系が普及し、検査の感度・特異性が向上したのに対して、確認試験のウエスタンブロット法は感度が低く、感染から間もない急性感染期の場合は抗体価が低いためにウエスタンブロット法のみによる判定では「保留」または「陰性」となりHIV-1/2感染を見落とす可能性があります。HIV-1については、この見落としを防ぐためにHIV-1核酸増幅検査(RT-PCR法)を利用したHIV-1RNAの検出法を確認試験の段階で行う必要があります。特に、HIV-1抗原とHIV-1/2抗体の同時測定系をスクリーニング検査法として用いた場合には、抗体を検出するウエスタンブロット法のみでは、抗原のみ陽性例の確定診断が困難となり、HIV-1核酸増幅検査(RT-PCR法)の実施が必須となります。

ウエスタンブロット法が陰性でHIV-1RNA量が高値の場合は、急性感染期と考えられます。ただし、ウエスタンブロット法が陰性/保留でありHIV-1核酸増幅検査(RT-PCR法)の単独陽性で確定診断した場合は、後日適切なっ時期(3〜4週後)にウエスタンブロット法により陽性を確認する必要があります。
HIV-2感染については、国内でも感染者が確認されており、HIV-1ウエスタンブロット法が陰性/保留の際にHIV-1核酸増幅検査(RT-PCR法)でHIV-1RNAを検出しなかった場合には、HIV-2のウエスタンブロット法を実施する必要があります。

・スクリーニング検査における注意点
近年、妊婦健診検査や手術前検査の一環として、HIV感染症検査が組み込まれることが多くなっています。現在わが国では、妊婦女性の95%以上(全国で年間約100万人)が、種々の感染症検査と同時にHIV-1/2スクリーニング検査を受診しています。
HIV-1/2スクリーニング検査は感度・特異性が向上した現在でも、感染者を見落とさないというスクリーニング検査の性質上、0.1〜0.3%程度の偽陽性反応が発生するため、年間妊婦女性の1,000人〜3,000人が偽陽性としてスクリーニング検査「陽性」の結果となっています。しかし妊婦集団では有病率(真のHIV感染者)は低く、スクリーニング検査で「陽性」であった妊婦で確認検査の結果、真の陽性者と判明するのは、年間で50人〜100人程度と推測されます。
HIV検査を行う際に、HIV検査がスクリーニング検査と確認検査から構成されており、スクリーニング検査で「陽性」となっても確認検査で陽性とならない限り「HIV感染」と診断されない事を説明することが重要です。

診断法の実際に続く

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