飲酒によるアルコールが脳に及ぼす影響・アルコール中毒

アルコールは中枢神経抑制作用があり、酩酊では大脳皮質・小脳が抑制され、急性アルコール中毒では大脳全体・脳幹も抑制されます。

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飲酒によるアルコールが脳に及ぼす影響・アルコール中毒

アルコール関連中枢神経障害(アルコール中毒)は、主に次のように分類されます。アルコールは中枢神経抑制作用があり、酩酊では大脳皮質・小脳が抑制され、急性アルコール中毒では大脳全体・脳幹も抑制されます。大脳皮質は感情などを抑制していますが、アルコールにより大脳皮質の機能低下(脱抑制)が起こるため、多弁・興奮などが見られます。中枢神経抑制作用のある薬剤と一緒にアルコールを飲むと、中枢神経抑制作用が増強されます。慢性アルコール関連中枢神経障害は、アルコールの毒性によるもの、慢性多量飲酒に伴うビタミン欠乏ないよるものがあります。アルコール離脱性痙攣はアルコール中毒の人が飲酒中止して起こるもので、てんかんの脳波はみられません。
1)急性アルコール関連中枢神経障害
・急性アルコール中毒
・アルコール関連失神
2)慢性アルコール関連中枢神経障害
・Wernicke-Korsakoff症候群
・ペラグラ
・橋中心髄鞘崩壊症
・アルコール性前頭葉萎縮
・アルコール性認知症
・アルコール関連不眠症
・アルコール性小脳変性症
・Marchiafava-Bignami病
・アルコール性脊髄症
・アルコール性弱視
3)アルコール離脱症候群
・アルコール離脱性痙攣
・振戦せん妄

急性アルコール中毒は酩酊(多弁・多幸感)状態に立位保持困難・記憶の抜け落ちなどが加わったものをいいます。酩酊はアルコール濃度が200mg/dl未満、急性アルコール中毒は血中濃度が200mg/dl以上のことが多いようです。軽症の場合興奮・不明瞭言語・協調運動不能などがみられ、重症の場合は意識障害がみられます。軽症の場合は特別な治療の必要はありませんが、重症の場合はしばしば呼吸困難がみられるので必要に応じて人工呼吸を行い、血中アルコール濃度が高い場合には血液透析を行います。
アルコール関連失神は、血圧低下による意識消失が起こり臥位(横になる)になると数秒〜10数秒で意識が回復するもので、末梢血管抵抗の減少がおもな原因と考えられています。

せん妄(delirium)
せん妄とは、意識混濁があり、とくに意識の明るさに著しい動揺がみられ、かつ妄覚(錯覚、幻覚)、精神運動興奮、運動不穏などが加わり、ときに支離滅裂な独り言や行動がみられる状態をいいます。典型的な例として、アルコール精神病の振戦せん妄にみられるもので、多数のヘビ、ネズミその他小さい虫類がはい回る、自分を追いかけてくるというものや、壁のシミが人の顔に見え笑い出す、額縁に入った絵が動きだす、腹の中を虫がはうなどと訴えることもあります。連想は支離滅裂で、良識、見当識、記銘、記憶、判断なども障害されます。
原因としては、外因性疾患、たとえば高熱を伴う伝染性疾患(高熱を伴うものを熱性せん妄といい小児と老人に多い)、中毒性疾患(アルコール中毒の振戦せん妄、四エチル鉛中毒など)、脳器質性疾患(脳炎,脳動脈硬化症など)などがあげられます。老年の精神障害では夜間せん妄がみられることがあります。また、近年、せん妄という言葉を意識障害とほとんど同義に用いることもあります。

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