β2マイクログロブリン 血清・尿

血清β2-m値は糸球体濾過値の低下に伴い上昇するので、腎糸球体障害の指標として有用です。

スポンサードリンク

β2マイクログロブリン 血清・尿

β2-マイクログロブリン(β2-m)は、分子量11,800の単鎖のポリペプチドで、HLA抗原クラスIのL鎖としてH鎖と非共有結合し、赤血球を除く全身の有核細胞表面に広く分布しています。特にリンパ球・単球などには豊富に存在して免疫応答に重要な役割を果たし、リンパ腫瘍(多発性骨髄腫など)や自己免疫疾患などで高値を示します。また、β2-mは体細胞から1日に150〜250mg程度血清中に放出されています。低分子量のため腎糸球体基底膜を容易に通過し、近位尿細管で大部分が吸収され、その後アミノ酸やオリゴペプタイドに異化されます。
血清β2-m値は糸球体濾過値の低下に伴い上昇するので、腎糸球体障害の指標として有用です。
なお、尿細管障害の際には、その再吸収・異化が障害されるため、また腎不全では糸球体からの排泄が障害されるために尿中への排泄が増加します。したがって尿中β2-mの測定は尿細管、とりわけ近位尿細管障害の指標として重要です。

糸球体濾過値(GFR)が低下すると、尿中へ排泄されなくなるため血中のβ2-m値は上昇。また近位尿細管再吸収機能が低下すると尿から血中への再吸収が滞るため尿中β2-m値が上昇。このようにβ2-m測定の臨床的意義は、糸球体と尿細管機能の評価にあります。

測定方法:LA(ラテックス凝集比濁法)
検査材料:血清・尿(蓄尿・部分尿)
基準値:血清 0.9〜1.9mg/dl 尿 230以下μg/l

血中β2-mは比較的安定で生理的変動幅も小さい。一方尿中β2-mは、妊娠や運動により増加する傾向があり、活動性の高い午前中から午後にかけては、尿中排泄が増加します。またpHが5.5以下の場合には酸性プロテアーゼにより分解され低値になるので注意が必要です。なお、血中・尿中とも低値側の臨床意義は少ない。

・高値を示す病態
1)血中高値・尿中正常:急性・慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群 など
2)血中正常・尿中高値:Fanconi症候群、尿細管アシドーシス、急性尿細管壊死、Lowe症候群 など
3)血中・尿中とも高値:尿毒症、慢性腎不全、糖尿病性腎症、悪性腫瘍、自己免疫疾患、肝疾患 など

▽β2マイクログロブリン 血清・尿 のキーワード

▽次の記事、前の記事

インタクト1型プロコラーゲンNプロペプチド Intact P1NP | 透析アミロイドーシスとβ2マイクログロブリン

スポンサードリンク

健康診断・血液検査MAP:新着記事

新規保険収載 デングウイルス抗原定性
デングウイルス抗原定性検査は、国立感染症研究所が作成した「デング熱・チクングニア熱の診療ガイドライン」に基づきデング熱を疑う患者が、当該患者の集中治療に対応できる保険医療機関に入院を要する場合に限り算定できます。
DIC播種性血管内凝固の新診断基準 日本血栓止血学会2014
日本血栓止血学会は、厚生労働省DIC診断基準を修正したDIC診断基準暫定案を発表しました。アルゴリズムで、DICを「造血障害型」「感染症型」ならびに「基本型」の3つの病型に分けています。
新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の効果と副作用
新規糖尿病治療薬sodium glucose co-transpoter2(SGLT2)阻害薬はインスリン作用を介さずに腎尿細管を標的とした薬剤です。
メタボロミクスによる癌診断
メタボロミクスは、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、糖などの多種多様な低分子量代謝産物(メタボローム)を対象とした研究です。
膵グルカゴン 完全長膵グルカゴンを特異的に測定
完全長の膵グルカゴンを特異的に測定する研究検査項目です。
IgGサブクラスIgG2
IgGサブクラスIgG2検査はIgG2欠損症の診断、及び免疫グロブリン製剤の投与時に必要な検査です。
後天性血友病 APTTクロスミキシング試験
後天性血友病インヒビターの存在を知る簡便な方法としてAPTTクロスミキシング試験があります。
血液検査で癌の早期発見ができる miRNA検査
たった1滴の血液から、13種類もの癌を早期に発見できる・・これまでの常識を覆す、画期的な検査方法がミクロRNA(miRNA)検査です。
認知症を予防する MCIスクリーニング検査とは
MCIスクリーニング検査 とは、軽度認知障害(MCI)の兆候を早期に発見できるバイオマーカーを使用した血液検査です。
LOXインデックス 脳梗塞・心筋梗塞の発症リスク予測
LOX-index(ロックス・インデックス)は、脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを評価する最新の指標です。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint