血栓・血栓症とは

血液や血管には「血栓をつくる働き」と「血栓ができないようにする働き」がどちらも備わっています。健康な人の場合、2つの働きのバランスがうまく保たれているので問題ありませんが、年齢や生活習慣などにより、血栓症がおこりやすくなります。

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血栓・血栓症とは

血栓とは、血管の中にできる血のかたまりのことです。血栓にはケガなどで血管が破れた時に出血を止め、血管の修復を助けるという大切な働きがあります。したがって血栓ができることそのものは異常ではありません。通常は血管が修復されれば溶けてなくなります。
血液や血管には「血栓をつくる働き」と「血栓ができないようにする働き」がどちらも備わっています。健康な人の場合、2つの働きのバランスがうまく保たれているので問題ありませんが、年齢や生活習慣などにより、血栓症がおこりやすくなります。

多くの血栓症は動脈硬化がその原因となりますが、年齢や生活習慣などにより動脈硬化がすすんでくると、コブのようになって血管をせばめて血流を阻害します。ひどいときには血流を完全に止めてしまうこともあります。さらに動脈硬化の一部がはがれて塊となり血流にのって移動して、他の場所の血管をふさいでしまうこともあります。これらを血栓症といいます。
血栓症で血液の流れが悪くなると、酸素や栄養が血液がふさがれた先の部分に十分に運べなくなり、さまざまな障害がおきます。たとえば肺の血管に血栓が詰まると呼吸困難になり、最悪の場合は死に至ることもあります。

・血栓ができるしくみ
血液は普通、血管内をサラサラと流れています。血液を固める働きのあるタンパク質と、それを抑制する働きのあるタンパク質がバランスよく作用し合っているため、通常は血管の中で血が固まることはありません。血管の内側を覆う「血管内皮細胞」も血栓ができるのを防いでいます。
しかし、いったん血管が傷つくと血液中の血小板がすぐに傷口に集まってきてくっつき合い、傷口をふさごうとします。血液は血管の中心に近い場所ほど速く流れていますが、血小板は壁ぎわをゆっくりと流れているので、血管壁が傷ついたときにすぐ集まることができるのです。
しかし、血小板同士の結合は弱いため、そのままではすぐにはがれてしまいます。そこで活躍するのが「凝固因子」と呼ばれるタンパク質です。最終的にはヒモのような形をした「フィブリン」という凝固因子がつくられ、血小板同士を固く結び合わせて血管壁の穴をふさぎます。
やがて破れた血管壁の細胞が増殖して血管が修復されると、不要に成った血栓は、タンパク質を溶かす酵素「プラスミン」などの作用で溶かされます。

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