麻疹(はしか)春から夏が流行の季節 麻疹抗体検査の特徴

HIは、IgM抗体、IgG抗体、IgA抗体を検出するため、感染早期から抗体価が上昇し、回復期にも抗体価が持続します。NTは、活性のある麻疹ウイルス粒子が感受性細胞に感染、増殖することを阻害する抗体(中和抗体)を検出する方法です。

スポンサードリンク

麻疹(はしか)春から夏が流行の季節 麻疹抗体検査の特徴

麻疹は、空気感染、飛沫感染や接触感染など、様々な経路で感染し、10〜12日程の潜伏期を経て発症します。最初は38℃前後の発熱やせきなどの症状がでて、その後熱が1℃程度下がった後、半日くらいして再び高熱(多くは39.5℃以上)と発疹が現れます。非常に感染力が強く、命にかかわることもある重篤な感染症のため、注意が必要です。特別な治療法はありませんが、予防接種で予防可能な感染症です。

麻疹ウイルスの抗体検査には、赤血球凝集抑制試験(HI)、中和反応(NT)、酵素免疫法(EIA)によるIgG、IgM抗体があります。HIは、IgM抗体、IgG抗体、IgA抗体を検出するため、感染早期から抗体価が上昇し、回復期にも抗体価が持続します。NTは、活性のある麻疹ウイルス粒子が感受性細胞に感染、増殖することを阻害する抗体(中和抗体)を検出する方法です。HIは稀少な動物血球を用いています。NTは操作が煩雑なこともあり、大量受託には不向きです。一方、EIAは、グロブリン別(IgG抗体、IgM抗体)に検出することが可能で、感度、特異度、再現性すべてにおいて他の検査法(HI、NT)より優れています。
抗体検査は、一般にペア血清(2週間程度)の有意上昇(有意な陽転も含む)によって感染の有無を確認します。HIやNTは抗体価が4倍以上、EIA(IgG抗体)はEIA価が2倍以上上昇した場合に有意とし、麻疹ウイルスによる感染があったものと判断します。一方、EIA(IgM抗体)は、感染初期に産出される抗体を検出するため、単一血清での診断に有効です。ただし検体採取時期が早期すぎた場合は、十分な抗体価が得られない、また個人差があり検出されなくても感染が否定できないこともあるため、注意が必要です。

国立感染症研究所が発表した、2014年第1から〜8週の累積報告数は119例であり、昨年同時期の3.3倍となっています。同機関の感染症発生動向調査によると、麻しん報告数は2013年第48週以降増加傾向が続いており、2014年第4週までは海外からの輸入症例の割合が高く、その後国内感染例の割合が高い傾向にあります。

▽麻疹(はしか)春から夏が流行の季節 麻疹抗体検査の特徴 のキーワード

▽次の記事、前の記事

シャーガス病 輸血による感染と安全対策 | 甲状腺ホルモン不応症 RTH診断の糸口はSITSH

スポンサードリンク

健康診断・血液検査MAP:新着記事

新規保険収載 デングウイルス抗原定性
デングウイルス抗原定性検査は、国立感染症研究所が作成した「デング熱・チクングニア熱の診療ガイドライン」に基づきデング熱を疑う患者が、当該患者の集中治療に対応できる保険医療機関に入院を要する場合に限り算定できます。
DIC播種性血管内凝固の新診断基準 日本血栓止血学会2014
日本血栓止血学会は、厚生労働省DIC診断基準を修正したDIC診断基準暫定案を発表しました。アルゴリズムで、DICを「造血障害型」「感染症型」ならびに「基本型」の3つの病型に分けています。
新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の効果と副作用
新規糖尿病治療薬sodium glucose co-transpoter2(SGLT2)阻害薬はインスリン作用を介さずに腎尿細管を標的とした薬剤です。
メタボロミクスによる癌診断
メタボロミクスは、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、糖などの多種多様な低分子量代謝産物(メタボローム)を対象とした研究です。
膵グルカゴン 完全長膵グルカゴンを特異的に測定
完全長の膵グルカゴンを特異的に測定する研究検査項目です。
IgGサブクラスIgG2
IgGサブクラスIgG2検査はIgG2欠損症の診断、及び免疫グロブリン製剤の投与時に必要な検査です。
後天性血友病 APTTクロスミキシング試験
後天性血友病インヒビターの存在を知る簡便な方法としてAPTTクロスミキシング試験があります。
血液検査で癌の早期発見ができる miRNA検査
たった1滴の血液から、13種類もの癌を早期に発見できる・・これまでの常識を覆す、画期的な検査方法がミクロRNA(miRNA)検査です。
認知症を予防する MCIスクリーニング検査とは
MCIスクリーニング検査 とは、軽度認知障害(MCI)の兆候を早期に発見できるバイオマーカーを使用した血液検査です。
LOXインデックス 脳梗塞・心筋梗塞の発症リスク予測
LOX-index(ロックス・インデックス)は、脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを評価する最新の指標です。

Valid XHTML 1.0 Transitional Valid CSS! Lint