β-D-グルカン 真菌感染症のスクリーニング

真菌に特徴的な細胞膜を構成している多糖体で、血液を用いた深在性真菌感染症のスクリーニング検査として用いられます。

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β-D-グルカン 真菌感染症のスクリーニング

β-D-グルカンはキチンやマンナンと共に、真菌に特徴的な細胞膜を構成している多糖体で、菌糸型接合菌を除くすべての真菌に共通して認められます。
病原微生物の中では真菌のみが持ち、細菌やウイルスには存在しません。そのため、カンジダやアスペルギルス、クリプトコッカスのような一般の臨床でよく見かける真菌のみならず、稀な真菌でも検出できる可能性があり、広い範囲で真菌感染症のスクリーニングに有用です。
またβ-D-グルカンは、菌の破壊により血中濃度が増加するため、深在性真菌症の診断、治療効果の判定や経過観察にも有用です。

検査材料:血液(ヘパリンNa加血)
測定方法:合成基質法
基準値:単位(pg/ml)11.0以下
カブトガニの血球成分より抽出されたfactor Gが、真菌の細胞膜構成成分の一つであるβ-D-グルカンと敏感に特異的に反応することを利用し、血漿中のβ-D-グルカン量を測定します。
健常人で10pg/mlを越えることはまれです。また、原発性肺クリプトコッカス症ではβ-D-グルカンの上昇をみることは非常に少なく、このため代用として莢膜(きょうまく)多糖抗原が測定されます(血清および髄液中のクリプトコッカス・ネオフォルマンス抗原として測定)。
なお、セルロース系透析膜を用いた透析患者や、製造過程で透析膜を用いる血液製剤(アルブミン、グロブリンなど)、さらに抗癌剤やサルファ剤の使用患者では高値を示すことがあるので注意が必要です。

・高値を示す病態
カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルスをはじめとする深在性真菌感染症
・低値を示す病態 低値側の臨床的意義は少ない

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