炎症の段階的病態と検査値の変化 第1〜3段階

炎症は通常病態の進み方に応じて炎症マーカーを中心とする検査値の変化が起こります。この変化は時間経過に伴い、極期を過ぎ病状の改善とともに終息に向かいます。

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炎症の段階的病態と検査値の変化 第1〜3段階

炎症は通常病態の進み方に応じて炎症マーカーを中心とする検査値の変化が起こります。そしてこの変化は時間経過に伴い、極期を過ぎ病状の改善とともに終息に向かいます。
炎症病態はベッドサイドからみて7段階の順序で進行することが多く、第4〜5段階までに治療方針を決定し実施することが望ましいとされています。第6〜7段階は末期的状態です。
1)第1段階:骨髄由来三系統細胞の減少
炎症が生じると白血球数は増多します。経過中、発熱が続き病態が改善しないにもかかわらず、突然白血球数が10,000/μl以下になり、血小板数が15万/μlを下回るようになると、炎症性サイトカイン過剰症による病態への移行の始まりと考えられますが、血球減少がなぜ起こるのかは解明されていません。

2)第2段階:炎症マーカーの奇異な改善
炎症性疾患ではCRP・アミロイドA赤沈値・などの炎症マーカーは増多します。CRPもアミロイドAもIL-6・IL-1βの両者が存在して初めて転写・翻訳が活性化します。しかし、血球減少が起こりはじめるとIL-6は以前高値であるにもかかわらず、これらの炎症マーカーは改善傾向を示します(paradoxical improvementと呼ばれる)。IL-6・IL-1βの細胞内シグナリングを阻害する何かが生じている可能性があります。
3)第3段階:凝固線溶系破綻
炎症性サイトカインにより血管内皮細胞の活性化・破綻が起こると、血管内膜のコラーゲンが露出し、血小板の付着・フィブリンの形成が進みます。コラーゲン面は凝固第XII因子を活性化し(内因系)周囲細胞から出る組織因子は凝固第VII因子を活性化し(外因系)、凝固線溶系全体が活性化します。その結果、フィブリン・フィブリン分解産物(FDP)が増加します。さらにPT・APTTが異常値をとり始めると、凝固線溶系の機能破綻を示し播種性血管内凝固症候群(DIC)へと移行していきます。

炎症の段階的病態と検査値の変化 第4〜7段階へ続く

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