遺伝子組み換えアルブミン製剤・メドウェイ注

血漿を使用せずにピキア酵母により産生・精製した製剤であるため、安定供給が可能であり、製造工程においてウイルスやプリオン等の感染性物質混入のリスクが少ないといったメリットがあります。

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遺伝子組み換えアルブミン製剤・メドウェイ注

遺伝子組換えアルブミン製剤「メドウェイ注25%50mL」「メドウェイ注5%250mL」が田辺三菱製薬株式会社・連結子会社の株式会社バイファと共同で開発され、2008年5月19日より販売開始されました。アルブミンの遺伝子組み換え製剤は、米国やEU(欧州連合)でワクチン等の添加剤としては承認されていましたが、アルブミン補充目的で承認された製剤としては本薬が世界初となります。

アルブミン製剤の適応は「アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)及びアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショック」です。血清中のアルブミンは、血液の膠質浸透圧の80%を維持し、アルブミン1gで20mLの水分を保持しています。アルブミン製剤では、こうしたアルブミンの機能を期待して
1)出血性ショックなどに対して血漿膠質浸透圧を維持して循環血漿量を確保すること
2)体腔内液や組織間液を血管内に移行させることで治療抵抗性の重度の浮腫を治療すること
を目的に使用されます。

従来のアルブミン製剤は、ヒトの血漿を原料としており、日本ではその半数を海外からの輸入に頼っています。国内では、日本赤十字社が献血で集めた血液を原料に生産していますが、近年献血量が減少しており、将来的な安定供給が危ぶまれています。また、現在の処理技術では、未知のウイルス等の感染の可能性を完全に否定できないなど、安全性確保の面でも問題が残されています。

その点、今回承認されたアルブミン製剤は、血漿を使用せずにピキア酵母により産生・精製した製剤であるため、安定供給が可能であり、製造工程においてウイルスやプリオン等の感染性物質混入のリスクが少ないといったメリットがあります。臨床効果についても、従来のアルブミン製剤との比較試験で、同等であったことが報告されています。

また、田辺三菱製薬株式会社では医薬品以外の用途(ワクチンや生物製剤の添加物・DDS・診断薬・人工授精・生物製剤製造・培地など)に使用できるrHSAを提供しています。

※遺伝子組み換え人血清アルブミン製剤の使用に当たっての留意事項(概要)
1)製剤産生のために使用されたピキア酵母に対するアレルギーの懸念が完全には否定できないことを患者に説明し、理解を得るように努めること。
2)血漿由来のアルブミン製剤と同様、「血液製剤の使用指針」を参考にし、蛋白質源としての栄養補給などを目的とした不適切な使用を避けること。

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