アポリポ蛋白

脂質は水に不溶性であるため血中では蛋白と結合してリポ蛋白として運搬され、この蛋白部分をアポリポ蛋白といい、AーT・AーU・B・CーU・CーV・Eがあります。

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アポリポ蛋白

脂質は水に不溶性であるため血中では蛋白と結合してリポ蛋白とし
て運搬され、この蛋白部分をアポリポ蛋白といいます。リポ蛋白を
構成する固有の蛋白であり脂質代謝を規定する重要な成分です。
現在、一般的に測定可能なアポリポ蛋白は、高比重リポ蛋白を構成
するAーT・AーU、低比重リポ蛋白と超低比重リポ蛋白を構成す
るB、カイロミクロンや超低比重蛋白などのTG-rich リポ蛋白と高
比重リポ蛋白中に存在するCーU・CーV・Eなどがあります。

・アポリポ蛋白A−T
アポリポ蛋白A−Tの変動はHDLの変動を知る指標となります。
HDLに関する代表的指標はHDLコレステロールであり、動脈硬
化に対して防御的に作用すること(negative risk factorであること)
は良く知られています。HDLには主としてアポリポ蛋白A−Tよ
りなるHDL2とA−TとA−Uの両者が混在するHDL3があり
HDLコレステロール値の変動はHDL2の変動に関連している場
合が多く、A−T値とHDLコレステロール値はよく相関します。

基準値:M 119〜155F 126〜165(mg/dL)
測定方法:TIA

異常値を示す疾患・病態
Tangier病、アポA-Tミラノ病、肝疾患で低下する、糖尿病、動脈
硬化症、慢性腎不全

・アポリポ蛋白A−U
HDLを構成する主要アポ蛋白の一つです。肝疾患の低HDL血症
の際、顕著に低下します。

基準値:M 25.9〜35.7F 24.6〜33.3(mg/dL)
測定方法:TIA

・アポリポ蛋白B
アポリポBの変動は主としてLDLの変動を示しています。
VLDLにも含まれていますが、アポリポBの増加が観察されたと
きはまず、LDLの増加を考えるべきです。

基準値:M 73〜109F 66〜101(mg/dL)
測定方法:TIA

異常値を示す疾患・病態
ネフローゼで高値となる、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎炎

・アポリポ蛋白C−U
リポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性化因子として機能的に注目され
ています。LPL活性発現の上で不可欠なため、アポC−U欠損症
ではLPL欠損症と同様の高TG血症となります。

基準値: M 1.8〜4.6F 1.5〜3.8(mg/dL)
測定方法:TIA

異常値を示す疾患・病態
ネフローゼ、原発性胆汁性肝硬変などの胆汁うっ滞で高値となる、
糖尿病(U型)

・アポリポ蛋白C−V
トリグリセライド(TG)値とよく相関しておりUb・V・W・X・
T型高脂血症などで高値を示します。高TG値を示すW・X・T・
V型などの症例ではHDLコレステロールやアポA−Tが低下して
いる事が多い。

基準値:M 5.8〜10.0F 5.4〜9.0(mg/dL)
測定方法:TIA

異常値を示す疾患・病態
ネフローゼ症候群、高TGを伴う高脂血症、糖尿病、閉塞性黄疸
で高値となる、慢性腎炎

・アポリポ蛋白E
アポリポ蛋白の増加はカイロミクロンやレムナントの増加を反映す
る傾向にあります。その病態には肝障害と胆汁うっ滞があり、前者
ではLCAT活性の低下によるnascent型HDLの血中うっ滞を示
していると考えられています。一方、胆汁うっ滞、特に原発性胆汁
性肝硬変(PBC)では著明な増加を認める事があります。

基準値:M 2.7〜4.3F 2.8〜4.6(mg/dL)
測定方法:TIA

異常値を示す疾患・病態
ネフローゼ、原発性胆汁性肝硬変、糖尿病、閉塞性黄疸等の胆汁うっ滞

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