妊娠に伴う検査値の変化 泌尿器系の変化

妊娠に伴う泌尿器系検査値の変化は、腎機能・尿管・尿糖・尿蛋白などにみられます。

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妊娠に伴う検査値の変化 泌尿器系の変化

妊娠に伴う泌尿器系検査値の変化は、腎機能・尿管・尿糖・尿蛋白などにみられます。
1)腎機能
循環血液量、血漿量、心拍出量の増加により腎血流量、腎血漿流量が増え、糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR)、24時間尿量が増加します。血液尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン、血清尿酸値は尿中排泄増加のため低下します。
2)尿管拡張
尿管はプロゲステロンの平滑筋弛緩作用により収縮が低下し拡張をきたします。また増大した妊娠子宮や卵巣漏斗靭帯による圧迫も尿管拡張に関与します。妊娠子宮が右側に回転する影響を受けて、圧迫されやすい右尿管が左より拡張しやすくなります。拡張した尿管により尿が尿管内に停滞しやすい状態となり、細菌が繁殖しやすくなります。このため、妊婦は尿路感染症(腎盂腎炎など)をきたしやすくなります。また増大した子宮は膀胱を圧迫し、頻尿になります。

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妊娠に伴う変化 腫瘍マーカー

腫瘍マーカー は腫瘍に特異的に発現する蛋白や抗原であるものが多いのですが、胎児や胎盤・卵膜などの妊娠組織にも発現するものがあります。したがって生理的に妊娠中に高値となるものがあることに留意いなくてはなりません。例えば、卵巣腫瘍のマーカーとして頻用されるCA-125は、脱落膜や羊水中に大量に存在するとされ、妊娠初期には高値を示し、全妊娠の60〜70%で35U/ml以上を示し、生理的増加の上限は200〜350U/mlととされています。

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妊娠に伴う検査値の変化 血液凝固・線溶系の変化

妊娠 により血液凝固は亢進し、線溶は抑制されます。分娩時の出血を減少させるための合目的的な変化といえます。
1)血液凝固亢進
血液凝固系はほぼ全般的に亢進し、血液凝固因子では第XI、XIII因子以外は増加します。抗凝固因子であるプロテインSは減少し、妊娠末期には非妊娠時の約30%まで活性値が低下します。プロテインCやアンチトロンビンIII(AT-III)は妊娠により値は変化しません。フィブリノーゲン(第I因子)は徐々に増加し、妊娠末期には非妊娠時の約1.7倍になるため、炎症の指標とされる赤血球沈降速度(ESR)が増加します。よって妊娠時における赤沈の亢進は炎症の診断には不適当です。妊婦における赤沈測定の臨床的意義は、産科DICの診断です。

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