TRACP-5b 骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ - 破骨細胞が骨に吸収する際に血中に漏出することから、破骨細胞数やその骨吸収活性の直接の指標となる唯一の骨吸収マーカーです。

TRACP-5b 骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ

TRACP-5bは、酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(tartrate-resistant acid phopshatate:TRACP)の骨型アイソザイムであり、破骨細胞に局在する酸性加水分解酵素です。破骨細胞が骨に吸収する際に血中に漏出することから、破骨細胞数やその骨吸収活性の直接の指標となる唯一の骨吸収マーカーです。同じ骨吸収マーカーで、尿を主な検査材料とする1型コラーゲン代謝産物などと異なり、血液で測定できるので尿で必要となるクレアチニン補正が不要となり、測定変動が小さく、生理的変動も小さくなります。さらに食事の影響や日内変動がなく、腎機能の影響を受けないなどの種々の優れた特性を有しています。

検査材料:血清またはヘパリン血漿(EDTA血漿は活性が低下する為不可)
測定方法:EIA
基準値:単位(mU/dl)M170〜590 F120〜420(YAM値)
※女性の基準値は「骨粗しょう症診療における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン」で定義されている若年成人女性平均値(YAM値)として、30〜44歳の健常閉経前女性の測定値から算出されており、閉経の前後にかかわらずこの値を使用します。

TRACP-5bは生理的変動や測定変動が小さく、骨代謝の小さな変化をとらえやすいので、臨床的には骨粗しょう症治療でSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレータ)などのマーカーの変動が比較的小さい薬剤の効果判定に有用です。また、腎機能低下の影響を受けないので、透析患者の骨減少の診断補助に使用可能な骨吸収マーカーとして大いに期待されています。

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