酸化LDL:MDA-LDL(マロンジアルデヒド修飾LDL) - 酸化LDLは、動脈硬化初期病変の形成と進展に中心的な役割を果たします。

酸化LDL:MDA-LDL(マロンジアルデヒド修飾LDL)

酸化LDLは、動脈硬化の形成・進展に関与し、影響を及ぼすと考えられている酸化ストレスマーカーです。動脈硬化巣から様々な脂質酸化生成物とともに検出されており、高脂血症や糖尿病で高値を示すことが知られています。
リポ蛋白はその比重によりHDL(High Density Lipoprotein,高比重リポ蛋白)、LDL(Low Density Lipoprotein,低比重リポ蛋白)、VLDL(Very Low Density Lipoprotein,超低比重リポ蛋白)の大きく3つに分類されます。動脈硬化症は血管の内皮細胞下にコレステロールが蓄積することにより起こり、そのコレステロールは主にLDLコレステロールに由来します。これが一般にLDLコレステロールが「悪玉コレステロール」と呼ばれる所以です。コレステロールはホルモンの材料になったり細胞を構築する重要な成分ですがLDLコレステロールが過剰に存在すると血液中や内皮細胞中に停滞、蓄積してしまい、次第に変性して異物へと変化します。これが酸化(変性)LDLです。
LDLは、アポ蛋白B(アポB)と脂質から構成されていますが、活性酵素の作用により、多様な酸化変性を受けたものが酸化LDLです。過酸化により脂質から各種アルデヒドやケトン類が多く生じましたが、アルデヒド類のなかで最も多量に存在するマロンジアルデヒドがアポBを修飾したものがMDA-LDLです。

酸化LDL(MAD-LDL)は、次の2点で有用です。
1)冠状脈疾患既往歴のある糖尿病患者において、冠状脈疾患発症に関する予後予測。
2)糖尿病患者において、PCI(経皮的冠状脈形成術)治療後の再狭窄に関する予後予測。

検査材料:血清
測定方法:ELISA
基準値:単位(U/L)男性45才未満46〜82 45才以上61〜105 女性55才未満 46〜82 55才以上61〜105

MDA-LDLレベルに関与する因子
血清MDA-LDLが高値を示す患者
・PCI治療後の再狭窄リスクが高い糖尿病患者
・冠動脈イベント再発リスクが高い糖尿病患者
・冠状脈狭窄
・糖尿病
・頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)高値
・脂質異常症(高LDL-C,高TG、低HDL-C)
・小粒子LDLをもつ

MDA-LDLレベルが低下する場合
・冠動脈プラーク容積の退縮
・スタチン(特にアトルバスタチン)
・フィブラート
・インスリン
・プロプコール
・緑茶

酸化ストレスとは
現在では癌や高血圧、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病のほとんどが活性酸素や過酸化脂質などの酸化ストレスが大きな原因の一つとなっていると考えられています。
酸化ストレスとは一般に生体内において生成される活性酸素群の酸化損傷力と生体がもつ抗酸化システムのポテンシャルの差として定義されています。このような活性酸素群は生体を維持していく上で必要なエネルギーを作り出したり、異物の攻撃を排除したりする重要な働きを持っています。しかしこれが過剰になると生体を構成している重要なタンパク質や脂質などを酸化させ、DNAを損傷させ、いわゆる「体を錆びつかせる」という状態になります。このような状態が進行すると生体の正常な機能を阻害し老化を早め、前述のような生活習慣病を引き起こすことになります。このような疾患を予防するためには酸化ストレスを最小限に食い止めることが必要です。

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