ミエリン塩基性蛋白 MBP - ミエリン塩基性蛋白は、中枢神経の軸索に存在するミエリン(髄鞘)を構成する蛋白質で、多発性硬化症など脱髄疾患で髄液中に上昇。

ミエリン塩基性蛋白 MBP

ミエリン塩基性蛋白(myelin basic protein:MBP)はミエリン(髄鞘)及びミエリン形成細胞であるオリゴデンドログリア細胞(中枢神経組織)やschwann細胞(末梢神経組織)に局在する蛋白質で、主たるものの分子量は18.5kDaです。ミエリン蛋白質の約30%を占めるとともに、等電点10.5で強塩基性を示すことからこの名前の由来があり、動物種を問わず髄鞘に存在しています。
ミエリンは中枢神経系の神経細胞の軸索に存在し、神経伝達系における電気信号を高速に伝導させる絶縁体です。実験動物にアレルギー性脳炎を発症させる起因蛋白として知られ、脱髄疾患の病態に深く関連しています。

MBPは中枢神経脱髄疾患である多発性硬化症(MS)で髄液中に増加がみられます。MSでは、急性増悪で2〜3日以内に上昇を示し、10日〜2週間で正常値にもどると言われ、病気の活動性の指標の一つとされています。しかし、その異常は脱髄疾患に特異的ではなく、髄鞘が破壊される他の疾患、たとえば脳血管障害・神経ベーチェット病・脳脊髄炎・筋萎縮性側索硬化症(ALS)などでも異常を示すことがあります。多発性硬化症では髄液IgG、オリゴクローナルバンドとは相関しないといわれています。

血清中では干渉物質が存在するため通常測定されません。また血液が混入した髄液では偽陽性となる可能性があるので避ける必要があります。

検査材料:髄液
測定方法:EIA
基準値:単位(pg/ml)102以下

高値を示す病態:多発性硬化症(MS)、神経ベーチェット病、脊髄症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、髄膜炎、脳炎 など
低値を示す病態:低値側の臨床的意義は少ない

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