ヒト胎盤性ラクトゲン HPL - 胎盤で産生される胎児の育成に関与する蛋白ホルモン。妊娠管理の重要な指標となり、IUGRや胞状奇胎で低値。

ヒト胎盤性ラクトゲン HPL

ヒト胎盤性ラクトゲン(human placental lactogen:HPL)は、絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)とともに胎盤で産生される代表的なホルモンです。hCGと異なり、糖質を含まない分子量22,000の単純蛋白で、191個のアミノ酸残基の単一鎖より成り、2個のS-S結合を持っています。
HPLは直接胎児に作用することはなく、妊娠母体での糖・脂質代謝を介して胎児発育に促進的に関与しています。すなわち、遊離脂肪酸やグリセロールの放出を増加させ、これを母体のエネルギーとして使わせることでグルコースの消費を抑制します。余ったグルコースは胎盤を経由して胎児に与えられ、これが胎児のエネルギーになり発育を促進させます。

HPLの血中半減期は10〜20分と非常に短いので胎盤異常が短時間で母体血中に反映されます。正常妊娠では、妊娠約8週位から上昇はじめ、36週ごろピークになります。
子宮内胎児発育遅延(IUGR)ではHPL値は28週ごろから増加せず低値で推移し、胞状奇胎の場合は、妊娠週に比べて低値になるがHCGは高値を示します。また、多胎や巨大児の場合は高値を示すことが多い。
HPLは、妊娠初期は切迫流産や胞状奇胎の指標として、また妊娠後期や末期にはHPL測定値の経時的推移により胎児-胎盤機能の管理などに有用です。

検査材料:血清
測定方法:LA(ラテックス凝集比濁法)
基準値:単位(μg/ml)
5〜8週 0.3以下
16〜20週 0.5〜2.3
24〜28週 1.5〜5.3
36〜40週 3.3〜8.5

・高値を示す病態
多胎妊娠、Rh不適合妊娠 妊娠、LFDなど
・低値を示す病態
切迫流産、胞状奇胎、子宮外妊娠、子宮内胎児発育不全、胎盤機能不全症 胎児発育遅延、胞状奇胎、胎盤機能不全、胎児死亡、SFD(低体重児)、妊娠中毒症など

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