ヘリコバクター・ピロリ抗体 IgG - 胃・十二指腸潰瘍や胃炎の患者で検出される、らせん状のグラム陰性桿菌で抗体価測定は感染と既往の指標となります。

ヘリコバクター・ピロリ抗体 IgG

ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori: HP)は胃内に生息する、オキシダーゼ陽性、微好気性のらせん状に湾曲したグラム陰性桿菌で、以前はキャンピロバクター・ピロリと呼ばれていました。胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃炎の患者の粘膜でよく検出され、特に十二指腸潰瘍を伴う慢性萎縮性胃炎患者で高率に認められるため、その原因菌と考えられています。
HP感染症の検査には培養法をはじめウレアーゼ法、DNA同定、13C-尿素を用いた尿素呼気試験のほか、血中や尿中の抗体価測定等があります。HP抗体IgG検査はこのうち、IgGクラスの抗HP抗体価を測定し、感染の既往、消長をみる検査です。

HP感染に起因する胃炎とHP抗体IgGには強い相関がみられ、HP感染症診断において高い感度を示します。抗生剤による除菌効果があると、抗体の力価は徐々に低下します。しかし陰性となるまで下がるのは稀であり、長期にわたり低下しながらも陽性が持続する場合が多いので、初感染の診断には適切な指標とはいえず、陽性の場合は初感染か既往によるものかを鑑別する必要があります。
抗生物質やプロトンポンプ・インヒビターなどを併用した除菌治療法が推奨され、投与8週後に有意な抗体価の低下がみられた場合に除菌治療が有効であったとする報告もあります。
検査材料:血清
測定方法:EIA
基準値:陰性(−)10 U/ml 未満

陽性を示す病態:ヘリコバクター・ピロリ感染症(胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎)

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