トロンビン・アンチトロンビンV複合体(TAT) - トロンビンとアンチトロンビンVが1:1の割合で結合した複合体。間接的にトロンビンの増減を知ることができる。

トロンビン・アンチトロンビンV複合体(TAT)

TATとは、トロンビンとアンチトロンビンV(AT-V)の複合体で、
DICや血栓性疾患の指標に用いられます。AT-Vとは、ヘパリンと強
い親和性を持つ蛋白で、ヘパリンの存在下で凝固因子Za、]a、
]Ta、]Ua、カリクレインを阻害します。また、トロンビン、す
なわち凝固因子Uaは、]aによりプロトロンビン(F.U)が活性化
されたもので、このトロンビンとAT-Vが1対1の割合で結合したも
のがTATです。

トロンビンの直接測定は技術的に不可能であるため、TATを測定す
る事で間接的にトロンビンの動態を知ることができます。
また、TATの血中半減期は10〜15分ときわめて短いため、採血時点
における血液凝固亢進状態あるいは血栓準備状態を知ることができ
ます。

TATが高値を示す代表的疾患としてDICがあげられます。DICでは凝
固が亢進し血栓傾向にあるため、凝固を抑制すべくAT-Vがトロン
ビンと結合する結果、TATは高値を示すと説明されています。

※駆血帯の過度の使用や採血の遷延は凝固系を刺激するため、しば
しばTAT値の上昇をもたらす。

測定方法:EIA
検査材料:クエン酸血漿
基準値:単位(ng/ml)3.2 以下

高値を示す病態
DIC、肺塞栓症、脳梗塞、外科手術、AT-V製剤投与時、
ヘパリン投与時

低値を示す病態
凍結融解の繰り返しにより低値になることがある

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