尿中ビリルビン定性 - 黄疸を伴う肝・胆管疾患のスクリーニング検査です。尿を直射日光下に放置すると分解され陰性となるので注意。

尿中ビリルビン定性

ビリルビンは赤血球ヘモグロビンの最終代謝産物です。肝、脾、骨
髄などの網内系細胞において、赤血球の破壊でヘモグロビンから生
じたビリルビンは、蛋白質と結合した型(間接ビリルビン)で肝臓
へ運ばれ、肝細胞でグルクロン酸抱合を受けて抱合型ビリルビン
(直接ビリルビン)となり、胆汁に入り胆道を経て十二指腸に排泄
されます。

閉塞性黄疸、あるいは肝細胞性黄疸で直接ビリルビンが血中に停滞
し、濃度2.0〜3.0mg/dlを上回ると尿中にもビリルビンが排泄され
るようになります。具体的には腫瘍、結石、寄生虫などによる肝外
胆管の閉塞で、胆汁の十二指腸への排泄が阻害されると、肝内毛細
胆管内に胆汁がうっ滞し、直接ビリルビンが細胞の間隙を通って血
液中に混入、腎を通って尿中に検出されるようになります。

肝細胞障害では、直接ビリルビンが上昇すると尿中にもビリルビン
が認められるようになります。

一方、溶血性黄疸で上昇する間接ビリルビンは、腎から排泄されな
いため尿中には出てきませんが、直接ビリルビンの形になれば出現
するようになります。尿中ビリルビンは、黄疸の鑑別や肝疾患のス
クリーニング検査として、歴史的に広く使われてきた検査ですが、
血中ビリルビンや肝機能検査が普及した現在、安価かつ簡便である
事を除けばその意義はあまり大きくはありません。

なおビリルビンは放置すると酸化され、黄緑色のビリベルジンとな
るため新鮮尿で検査します。また光に当たると分解されるため遮光
保存が必要です。試験紙法ではビタミンC(アスコルビン酸)で反
応阻害を受け偽陰性を呈することがあります。

検査方法:試験紙法
基準値:(−)

陽性を示す病態
 閉塞性黄疸:腫瘍、結石、寄生虫などによる肝外胆管の閉塞
 肝細胞性黄疸:肝炎や薬物中毒による肝細胞の障害

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