妊娠に伴う検査値の変化 泌尿器系の変化 - 妊娠に伴う泌尿器系検査値の変化は、腎機能・尿管・尿糖・尿蛋白などにみられます。

妊娠に伴う検査値の変化 泌尿器系の変化

妊娠に伴う泌尿器系検査値の変化は、腎機能・尿管・尿糖・尿蛋白などにみられます。
1)腎機能
循環血液量、血漿量、心拍出量の増加により腎血流量、腎血漿流量が増え、糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR)、24時間尿量が増加します。血液尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン、血清尿酸値は尿中排泄増加のため低下します。
2)尿管拡張
尿管はプロゲステロンの平滑筋弛緩作用により収縮が低下し拡張をきたします。また増大した妊娠子宮や卵巣漏斗靭帯による圧迫も尿管拡張に関与します。妊娠子宮が右側に回転する影響を受けて、圧迫されやすい右尿管が左より拡張しやすくなります。拡張した尿管により尿が尿管内に停滞しやすい状態となり、細菌が繁殖しやすくなります。このため、妊婦は尿路感染症(腎盂腎炎など)をきたしやすくなります。また増大した子宮は膀胱を圧迫し、頻尿になります。

3)生理的尿糖陽性
グルコースやアミノ酸などの尿中への排泄が増加するため、妊娠中に血糖値が正常にもかかわらず尿糖が陽性になることがあり、これを妊娠による生理的尿糖陽性といいます。尿細管における再吸収が生理的に抑制されている、あるいはGFR増加に伴う尿細管への糖排出過剰により一部が再吸収されずに尿中に排泄されると考えられていますが、その機序は不明です。
4)生理的尿蛋白陽性
GFR増加により尿蛋白排出は増加し、約20%の妊婦で蛋白尿がみられますが、24時間蓄尿で300mg/day未満の尿蛋白は正常と考えられます。

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