前立腺酸性フォスファターゼ(PAP) - 前立腺癌のマーカー。PSAとは物質的に異なるため、組み合わせによる正診率の向上が期待される。

前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)

酸性フォスファターゼ(ACP)はリン酸エステルを加水分解する酵
素の中で至適pHが酸性側にある酵素の総称で、その分子量は約10万
です。ACPは前立腺で大量に合成されているため、男性においては
血中濃度のかなりの部分を前立腺酸性フォスファターゼ(PAPまた
はPACP)が占めています。

前立腺酸性フォスファターゼを測定するには一般にRIA法のような
免疫学的測定法と比色法(UV法)がありますが、本法はRIA法(比
色法と区別するため、便宜上こちらをPAPと呼称する)で、抗原量
(蛋白量)が測定されます。

RIA法により測定されるPAPは前立腺肥大症などの良性疾患で10%程
度の偽陽性があるといわれます。また早期の癌では陽性率があまり
高くないとの指摘もあり、診断面での有用性は前立腺特異抗原(PSA)
などに劣るといわれています。一方、PAPは前立腺癌患者のフォロー
アップに優れているとされ、治療後のモニタリングや再燃の予測な
どに有用であるという報告もあります。特に内分泌療法において治
療開始前後のPAP値により治療奏効や再燃の予測などが試みられて
います。

免疫学測定法では比色法に比べ溶血等の影響は少ないといわれてい
ますが、採血後は速やかに血清分離を行い凍結で保存します。また
前立腺の触診や生検、膀胱鏡検査、尿道カテーテルの挿入などの機
械的刺激によっても高値になるのでこれらの処置を行った場合、処
置後24時間以内に採血した検体での測定は避けます。

検査材料:血清
測定方法:RIA(二抗体法)
基準値:単位(ng/ml) 3.0以下

高値を示す病態
 前立腺癌、前立腺肥大症、前立腺炎

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