脂肪細胞とPAI−1 - 最近の研究により、脂肪蓄積、特に内臓脂肪の蓄積に伴い脂肪細胞でのPAI−1遺伝子発現が増加し、この上昇に関連して血中濃度も上昇することが確認されました。

脂肪細胞とPAI−1

PAI−1(plasminogen activator inhibitor) はプラスミノーゲ
ンアクチベータを抑制し、プラスミン生成を妨げ、フィブリンからの
fibrinogen degradation product 生成を低下させます。
つまり、PAI−1 の増加は線溶活性を低下させ、血栓形成傾向に
傾くことを意味します。

最近の研究により、脂肪蓄積、特に内臓脂肪の蓄積に伴い脂肪細胞で
のPAI−1遺伝子発現が増加し、この上昇に関連して血中濃度も上
昇することが確認されました。
この脂肪蓄積による血中PAI−1濃度の増加は、肝臓での産生増加
ではなく、内臓脂肪での産生の亢進であり、肥満と血栓性疾患とを結
びつけることが明らかになりました。
内臓肥満時の血中PAI−1レベルの上昇は結果ではなく、インスリ
ン抵抗性の病態そのものの発病にかかわっている可能性があります。

また、PAI−1は脂肪細胞の分化そのものを制御する可能性も示唆
され、メタボリック・シンドロームの中に占めるPAI−1の役割に
期待されます。

・血中トータルPAI−1 (tPA・PAI-1複合体) 測定
PAI−1はPAを特異的かつ即時的に阻害することにより線溶糸反
応の開始段階を制御します。PAI−1は血中では活性型、PAとの
複合体、活性のない潜在型などとして存在しますが、非常に不安定な
物質であることから、トータルPAI−1の測定が最も臨床的に信頼
できるものと考えられます。他の凝固線溶検査と併せて測定すること
により、凝固線溶異状における痛態把握や治療効果判定の指標として
有用と考えられています。

基準値:50以下(ng/mL)
測定方法:LPIA
適応疾患:DIC、急性心筋梗塞、狭心症、敗血症

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